鹿児島市犬迫町に16歳のクリエイター誕生
- 犬迫地域コミュニティ協議会 
- 10月6日
- 読了時間: 4分
更新日:10月6日
ソーシャルネットワークXで「すくら」として活動する16歳のクリエイター。
地元の高校に通う普通の男子高校生、鶴田 昊(つるた こう)さん(16)だ。
学校では勉強や文化祭に励み、放課後は友達と遊ぶ。
そんな彼が今、夢中になっているのは「Blender(ブレンダー)」――ゲームやアニメ制作にも使われる3DCGソフトだ。

このソフトを駆使し、すくら君は独自の映像作品を次々と生み出している。
最近では犬迫町の八房神社をテーマにしたバーチャル動画を制作し、「私のイチ押し鹿児島コンテスト」に出品。
公式アカウントにリポストされた。
地図アプリのピンが犬迫町に落ち、「八房神社」「宇宙一の大虎」といったワードが次々にズームアップする。
タイピング音やリアルな映像表現を盛り込んだ15秒の動画は、情報がぎゅっと詰まっていて思わずリピートしてしまう。
気づけば私は20回以上再生していた。
「私の推しは地元から」。
都会に憧れを抱きがちな年頃に、自分の地元を推す姿がまぶしい。
犬迫町から世界に向けて映像で発信する彼に、直接話を聞いてみたくなった。
Blender(ブレンダー)との出会い
―Blender(ブレンダー)を始めたきっかけは?
「中学で通ったプログラミング教室で知りました。
皆はゲームを作っていましたが、僕は背景や物を作ることに惹かれたんです」
彼の作品群には独特の着眼点が光る。機関車、深海、そして「我が家の高齢ルンバ」 なんとも愛情あるタイトルもついている。
作品の説明文も簡潔でわかりやすい。

友達と作品づくりの関係
―友達の反応は?
「小学校は6人しかいないクラスもあったので、比べる機会もなくて。活動をしっかり見せることは少ないです。でも、受け入れてくれる友達もいます」
映画の内容が怖すぎて友達を置いて映画館を出て行ってしまったこともあるという可愛らしいエピソードも。
豊かな想像力と繊細さの両面を感じさせる。
犬迫での制作の流れ
―どうやって作品を作るのですか?
「まず作りたいものを決めます。これが一番時間がかかります。決まったら素材を探します」
素材探しとは、石なら実物を見に行ったり、水音なら録音するような、絵画で言えばモデル探しのようだ。
「犬迫には自然がたくさんあるので助かります。ただ、僕は自然や生物を作るより、建物、空間が好きなので、それらの資料がないのは難点です」
ー解決法は?
「周りに仲間がいないので、ネットで調べてクリアします。下準備が終わると、制作に入ります。問題が出てくると一度止まって別のものを作り始めます」
ーえ!息抜きをするのではなく、他の作品に取り掛かるんですか?
「はい、僕にとってそれが息抜きです。どうしても続かないものはボツになります。」
こうして完成した作品はXに投稿して反応を確かめる。
再現された名作MV
最も再生された作品は1996年にイギリスから世界に広まったヒット曲、ジャミロクワイの「Virtual Insanity」を人物なしの3DCGで再現したものだ。
「ネットで知って調べたらハマってしまって」
動く床を滑るように踊るダンスが話題を呼んだMV。
当時のエピソードでは人力で壁や床を動かしていたそうだ。
もしタイムマシンがあるなら、当時のジャミロクワイに「30年後、日本の小さな地域に住む男の子が、このMVを再現しますよ」と伝えに行きたい!
ー音楽の好きなジャンルはなんですか?

「ジャズが好きでよく聴きます。T.M.Revolutionも好きです。フライデーチャイナタウンも!ご存知ですか?」
まさか16歳の男の子から80〜90年代の楽曲を「知ってますか?」と質問されるとは思わず。
いい意味で面食らったが、すくら君のこの軽やかな口ぶりに、改めて芸術は色褪せないんだな。と胸の内が熱くなったインタビューとなった。
未来への挑戦
すくら君の作品は2025年秋の「犬迫映画祭」オープニング映像として上映される予定だ。

「親以外から依頼を受けるのは初めてで、不安もワクワクもありました」
―将来の夢は?
「高校を卒業したら、プロの世界で使われている3DCGソフトを学べる学校に進みたいです。
映像制作プロダクションに入りたいです。」

犬迫町の自然や歴史を舞台に、未来へつながる映像を作り出す16歳のクリエイターのまなざし。 地元から世界へと羽ばたく姿を、これからも見守りたい。
ライター 吉田 ゆみ Plofile:ライター、菓子講師、レシピ開発など、主に伝える仕事をしています。鹿児島ー東京の二拠点生活中!頑張る人や、ワクワクすることを見つけて日々駆け回っています。





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