犬迫スペシャルハンターズに吹く新しい風―父と娘が見つめる「命」の物語
- 犬迫地域コミュニティ協議会

- 3 日前
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目次
1. はじめに:犬迫スペシャルハンターズとは
2. 父と娘、そして犬たち
3. 息を潜める瞬間──命と向き合う現場
4. 山の恵み「ジビエ」のおいしさ
5. 猟を支える“見えない課題”
6. 犬迫の人々が教えてくれること
7. おわりに:命をつなぐ地域の力
1. はじめに:犬迫スペシャルハンターズとは

鹿児島市犬迫町では、イノシシによる農作物被害を防ぐため、
地域の有志が「犬迫スペシャルハンターズ」として活動しています。
自然と人の暮らしを守るために、日々、山へ足を運ぶ人々です。
2. 父と娘、そして犬たち

外山貴彦さんは、新屋敷から犬迫まで、毎日罠を見に行くそう!その熱心さと腕を買われ、娘の千乃さん(20歳)と共に、犬迫でも活躍中の親子。
千乃さんは動物が大好きで、とくに犬が好き。
狩猟犬とともに山を歩く父の背中を見て育ちました。
18歳になると罠猟の資格を取得。今は犬の世話や罠の見回りを担当しています。
「命を奪うのは怖いけど、犬や父を通して、自然の中で生きることを知りたい」と話しています。
猟銃が持てるのは成人してから。資格がないと、銃を触ってはいけないそうです。
3. 息を潜める瞬間──命と向き合う現場
外山さんは仕事の合間をぬって山に入り、罠を見回ります。
「掛かっていれば、連れ帰って処理をします」
「イノシシと出会ったときは、息を潜めて、血の気が引くというより血が騒ぐ。
まさに命と向き合う瞬間を体験します」と外山さん。

仲間の古野剛さんも「外山さんは処理が早い」と話します。
「今朝も覗いたら掛かってました!見に行きますか?」
思わぬお誘いに一瞬、ひるむ私でしたが、ハンターの向き合う姿を見ておきたい。
これらの問題を知らないまま過ごしてはいけない。と、同行することに。
4. 山の恵み「ジビエ」のおいしさ


「鼻罠」に掛かっている少し小ぶりのイノシシが、外山さんを見て暴れ出します。
「鼻縄」は、イノシシが鼻を突っ込んだ時に囚われてしまう罠。これだと、身体が痛まないので、食用としても傷つかずに処理できます。

イノシシは、一瞬バタついたものの、すぐに力を落とします。
その手際には、長年の経験と命への敬意がにじみ出ています。
仕留めたイノシシは丁寧に捌かれ、地域の若者にも振る舞われることも。

「焼肉がいちばん美味い」と外山さん。
自然の中で育ったイノシシの肉は、脂が軽く、うま味が濃い。
鉄分やビタミンが豊富で、体にも良い“山のごちそう”です。

娘さんは捌くのも得意で、「包丁を研ぐのは、僕より上手いです(笑)」と外山さん。
銃は免許を持つ人しか触れませんが、父のそばで少しずつ技を学んでいます。
一方、関東など都会では「ジビエ料理」として、高級品として扱われています。
「鹿肉が1キロ2万円なのもあります」
ヘルシーで高タンパク質なジビエは、特に女性からの人気が高い。
とはいえ、いろんな課題が邪魔をして需要と供給がうまく回らないのが現実です。
5. 猟を支える“見えない課題”
外山さんは「若い人を育てたい」と言いますが、現実には課題も多いです。
猟には費用や時間がかかり、さらに「各猟友会による地域区分」があり、自分の所属地域以外では処置ができません。
しかし、外山さんはこう話します。
「被害を受けているのは地元の人たち。地域区分なんて、困っている人には関係のない話です。良いところは残しつつ、制度を見直していかないと」
古野さんも「若い人に関わってほしいけど、責任を持つのは大変」と語ります。
現場には、制度では割り切れない“人の気持ち”があります。
6. 犬迫の人々が教えてくれること
そんな中でも、犬迫町の人々は柔軟で、協力的だと外山さんは言います。
「犬迫の方々は本当に良い人ばかり。話せばわかってくれるし、みんなで支え合っている」
猟の現場で何より大切なのは、コミュニケーションと人間関係。
人と人との信頼があってこそ、地域の自然も守られます。
7. おわりに:命をつなぐ地域の力
命をいただくこと、そしてそれを次の命へとつなぐこと。
派手ではなくても、静かに、確かに地域を支える。それが、犬迫スペシャルハンターズの活動。
その根っこには、「人のつながり」と「自然への敬意」が息づいています。
娘の千乃さんは、今、銃の所得取得免許の勉強中!順調に行けば年明けには免許取得の予定です。
犬迫スペシャルハンターズにまた、新しい風が吹き込みそうです。
ライター 吉田 ゆみPlofile:ライター、菓子講師、レシピ開発など、主に伝える仕事をしています。鹿児島ー東京の二拠点生活中!頑張る人や、ワクワクすることを見つけて日々駆け回っています。



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